2009年度-第1回Green Forum-

趣旨

 この初夏、青年部会では、若手を中心とした合宿形式の交流会『Green Forum』を開催します。「研究」か「就職」か…。希望を胸にこの分野に足を踏み入れた(踏み入れようとする)ものの、将来の進路選択は「若手」にとって大きな悩みのタネ。情報の少なさや人的ネットワークをつくる機会の乏しさがそれを助長させています。一方、野生生物保全の現場で求められる人材のあり方は、アカデミックな研究者だけでなく、行政、民間企業、NPO、ボランティアに至るまで多様で、潜在的にはさまざまな可能性が開かれているはずです。そこで青年部会では、研究から実務、保全活動まで現場で求められる多様な人材やそのあり方について、情報交換やネットワークづくりの場を提供しようと考えました。

 第1回『Green Forum』は東京・八王子で。自分の研究活動や地域で保全活動を展開していくうえでの悩みの解消、新しい視点の発見、先輩からの情報収集、後輩へのメッセージ。寝食をともにし「これからの野生生物保全」や「若手の生きる道」について一緒に考えませんか?


日時

 2009年5月30日(土)~31日(日)


開催場所

 八王子セミナーハウス(http://www.seminarhouse.or.jp/


全体日程

<30日>

 13:10 若手研究・現場活動発表会(計10題、各題20分)

  13:10 「東京郊外におけるタヌキとハクビシンの食性比較」 立脇隆文(麻布大・院)

  13:30 「島根県に生息するイノシシの食性」 柴崎亜季子(立正大)

  13:50 「トノサマガエルとダルマガエルの種間交雑に関する研究」 山本康仁(農工大・院)

  14:10 「埼玉県越生町におけるミミズの環境選択」 小沼聡美(立正大・院)

  14:30 「日本と北米における人々のクマ及びクマの保護管理に対する意識」 桜井良(フロリダ大・院)


  15:10 (休憩)


  15:30 「ニホンジカの生息密度と植物多様性の関係について」 梅田浩尚(兵庫県大・院)

  15:50 「ニホンイノシシの都市環境への出没要因解明と対策の検討」 辻知香(岐阜大・院)

  16:10 「ため池にチナンパをつくろう」 杉本正太(明石工業高等専門学校)

  16:30 「防除活動を通じて人とカワウの緊張関係はどう変化したのか」 富永光(筑波大・院)

  16:50 「小学生は野生生物保護管理問題をどう捉えるか」 保谷恭平・富永光・三井幸成(筑波大)

 19:30 夜の部:「交流会」及び「研究費・活動資金の取り方」講座


<31日>

  9:00 朝の部: コミュニケーション・フォーラム「先輩の生の声を聞く」

 12:00 閉会・解散

 13:00 青年部会幹事会(公開ですのでぜひご参加ください)

 16:00 閉会


企画①若手研究・活動発表会(30日:昼の部)

 A.卒論・修論発表

  2008年度に執筆された卒業論文・修士論文に関する発表。

 B.今後の研究計画や調査報告、未完成の研究の検討

  まだ成果の出せていない調査・研究や検討段階の研究計画、予備調査段階の調査結果など。

 C.自然環境の保全にかかわる活動発表(年齢制限なし)

  実践にかかわる課題の整理や解消方法、地域社会との協働の条件などについて議論。


企画②「研究費・活動資金の取り方」講座(30日:夜の部)

 研究費や活動費があるかないかは雲泥の差。とはいってもなかなか当たらないのが現実です。そこで、学振、科研、民間ファンド…さまざまな資金を獲得した若手の「申請書」をプロジェクタで公開!失敗例として、獲得に失敗した申請書の公開もあるかも?意外なテクニックが見つかるかもしれません。交流会前の気軽な企画です。


企画③交流会(懇親会)

 学会などでとりあえず名刺交換したものの、それっきりになってしまうことってありませんか?昼の部での質疑応答で、時間や度胸がなくて聞けなかったこと、時間内でうまく答えられなかったこと、そのままにしておくのはもったいない。合宿形式の利点を生かし、参加者間のコミュニケーションも図りましょう。顔と名前が結びつく交流をぜひ夜の部で。


企画④コミュニケーション・フォーラム(CF)「先輩の生の声を聞く」

 若手の進路選択に対する情報収集の場として、野生生物保全の最前線で活躍される先輩を招いてお話を伺います。「普段の活動やお仕事の内容」「活動や仕事を通して感じるやりがいや直面する課題」「活動に至った経緯や携わる中でのご自身の考え方の変化」「その分野において必要とされる人材や募集状況」など仕事や活動に携わる先輩の“生”の声に触れてください。

 さらに、参加者が日頃から抱えている不安や疑問点の解消、野生生物との関わり方に関する質問や相談、人的なネットワークの形成を図るため、話題提供者を交え参加者同士でざっくばらんに話し合う場を設けます。また、フロアでは、行政・大学機関や民間企業などに所属し、人文・社会科学から自然科学まで、さまざまな背景を持つ青年部会幹事も話し合いをサポートします。多様な立場の参加者が集まれば、それだけ情報量も多くなります。これからの進路や自身の研究・活動の方向性を考える方はもちろん、多くの現場で活躍される方の参加を希望します。


 1.話題提供(予定):

 ・開発法子さん(財団法人日本自然保護協会 保全研究部部長)

 「自然保護NGOで、野生生物保護に携わる」

 ・前田剛さん (前対馬野生生物保護センターアクティブレンジャー)

 「希少野生生物保護の現場で求められる知識・技能・経験~ツシマヤマネコ保護最前線からの報告~」

 ・阿部純さん(新日本環境調査株式会社職員)

 「アセスの会社?環境コンサルタントの仕事について」


 2.参加者全員によるディスカッション

 「野生生物の保全への多様な関わり方について」


(参加幹事)

 浅利裕伸 (株式会社長大 滑空性哺乳類、森林分断化、動物生態)

 上田剛平 (兵庫県但馬県民局豊岡農林水産振興事務所 狩猟、野生動物管理)

 江成広斗 (京都大学霊長類研究所/日本学術振興会特別研究員 ニホンザル、野生動物管理、自然再生)

 遠藤美香 (兵庫県立大学大学院修士課程 ニホンザル、野生動物管理)

 関根聡子 (所属なし インタープリテーション、環境教育)

 澤田誠吾 (島根県中山間地域研究センター研究員 ツキノワグマ、獣害対策)

 鈴木克哉 (兵庫県立大学助教/兵庫県森林動物研究センター研究員 地域住民、獣害管理、地域振興)

 角田裕志 (東京農工大学大学院/日本学術振興会特別研究員 ブラックバス、野生動物学、保全生物学)

 富田涼都 (東京大学特任研究員 自然再生、環境倫理、環境社会学)

 中村大輔 (岐阜大学大学院連合農学研究科 獣害対策、農村計画学)

 野呂美紗子(社団法人北海道開発技術センター研究員 野生動物の交通事故、野生動物管理学、交通工学)

 満尾世志人(東京農工大学大学院連合農学研究科 ホトケドジョウ、動物生態)

 安富舞  (日本獣医生命科学大学大学院/神奈川県 獣害対策、野生動物管理)


担当者

鈴木克哉・富田涼都・角田裕志・満尾世志人・野呂美紗子